研究概要 |
クロスフィールド磁界が印加されたSiH4(10%)/Arグロー放電プラズマ内の陰極降下部のラジカルおよび微粒子計測の結果,以下のことが明らかになった. 1.放電初期にラジカル発光および電子密度が一旦増加したあと減少していく現象が観測された.この原因として,放電開始直後の高次シランの生成による両極性拡散損失の低下に基づく電子密度の上昇と,その後の微粒子成長による電子付着の増大および電極面へのアモルファスシリコン膜堆積による二次電子放出の減少に基づく電子密度の減少が考えられる. 2.市販のCCDカメラを用いて,かなり大きく成長した微粒子について,放電電界に垂直な磁界の印加に伴う微粒子の空間分布変化を観測した.負に帯電した微粒子に働くクーロン力とイオン衝撃力の空間的アンバランスに起因すると思われるE×Bドリフトとは反対方向の微粒子輸送が観測された. 3.成長中の微粒子の磁界応答を調べるために,ICCDカメラを用いた高感度光計測装置を製作した.高出力パルス色素レーザーによる微粒子のMie散乱光の観測を行ったところ,これまで観測できなかったAC放電においても微粒子が観測された. 4.負に帯電した微粒子が存在する場合の簡単なモデルを用いた運動方程式の計算により,帯電微粒子がプラズマのE×Bドリフトと反対方向にドリフトすることがわかった.これは微粒子に帯電した負電荷により空間電荷電界が弱まることに起因している.結果として,電子のドリフトは速くなり,逆に正イオンのドリフトは遅くなる.
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