研究課題/領域番号 |
06230207
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
鞠谷 雄士 東京工業大学, 工学部, 助教授 (70153046)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1994年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 高速紡糸 / 複合紡糸 / 分子配向 / 配向結晶化 / ネック状変形 / 伸長粘度 / 固化 / ポリエチレンテレフタレート |
研究概要 |
高速紡糸法は、高い伸長速度の下で起こる配向誘起結晶化を利用して構造の発達した繊維を製造する技術である。本研究では、高速紡糸過程で材料が受ける熱・応力履歴を能動的に制御する手段としての繊維の複合化について、その可能性を明らかにすることを目的とし、複合繊維を高速紡糸する過程で、成分間の相互作用による紡糸線の変形挙動の変化と、材料に付与される熱・応力履歴の各々の材料を単独で成形する場合との相違点を明らかにし、繊維の高次構造の形成機構や物性との対応について検討した。 高速紡糸により得たPET(ポリエチレンテレフタレート)/PP(ポリプロピレン)複合繊維においては、PET成分の分子配向はPETを単独で高速紡糸する場合に比べ促進され、これとは逆に、PP成分の分子配向は単独での紡糸に比べ抑制されていた。一方、PET/PS(ポリスチレン)系ではPET成分の分子配向や配向結晶化は抑制され、PS成分の分子配向が促進されていた。すなわち、複合紡糸過程における成分間相互作用により、一方の成分の高次構造形成を著しく促進させ得ることが明らかになった。 PET/PD複合繊維の紡糸過程での細化および冷却挙動を解析した結果、紡糸速度1、3km/minでは紡糸線の固化はPETのガラス転移により起こり、PET単独の紡糸に比べ固化点近傍での変形が大きいことが明らかとなり、この現象がPET成分の高配向化に結び付いていると推定した。一方、5km/minでは鋭いネック状変形が観測され固化温度が上昇していたことから、PET成分の分子配向増加により配向結晶が促進されたと結論した。これらの結果より、複合繊維の高速紡糸における成分間相互作用を支配する重要な因子は「伸長粘度の活性化エネルギー」と「固化温度」であると推定した。
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