研究概要 |
昨年度までの研究により,リプロンを用いた表面光散乱法の基本的な設備が整い,その成果として常温付近での数kHzのリプロンの検知により,表面張力と動粘性率の動的な同時測定が可能であることが明らかになった。このことを前提として,本研究の成果は以下のようにまとめられる。 (1)高精度化を達成するために,光学系を改良し,分散関係式の新たな近似解を導入した。その結果,常温の水において表面張力が±3%以内,動粘性率が±16%以内の測定が可能になった。 (2)本測定法を凝固プロセスの観測に適用し,30s毎に表面張力と動粘性率の変化を捉えることができた。 (3)高温測定が可能になるように赤外線イメージ路を導入し,1800Kまで使用可能な炉心部を設計製作し,光学系を一部改良した。これらを用い第1段階として,融点の比較的低い約700Kまでの溶融NaNO_3の測定を行った。その結果,表面張力で±5%以内,動粘性率で±30%以内の精度で測定が可能になった。また,約1700Kの溶融Siでは,接触角と対流の問題により測定に至らなかった。この原因は,液面の曲率によりビームが拡がり,るつぼ内の融体の対流によってビームが揺れたためと考えられる。
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