研究概要 |
平成6年度においては以下のことを主に行った. 1.軽いSnアイソトープの核構造 ^<104,105>Snなどの最近実験的に準位構造が確立している軽いSnアイソトープを対象として殻模型にもとづく核構造研究を行った.それにより^<104,105,106>Snのエネルギー準位および電磁的遷移確率を再現する(g_<7/2>,d_<5/2>,h_<11/2>,s_<1/2>,d_<3/2>)空間の中性子-中性子間の相互作用を求めた. 具体的にはYukawa型の動径方向依存性を持つ中心力を想定し,相互作用強度V^<T=1,S=0>およびV^<T=1,S-0>の値を調べた. 2.粒子-空孔間相互作用 ^<100>Cdなどの粒子-空孔核を殻模型により調べ,(g_<9/2>,p_<1/2>)と(g_<7/2>,d_<5/2>,h_<11/2>,s_<1/2>,d_<3/2>)間の相互作用の性質を研究した.特にN=51核である^<98>Agについてはエネルギー準位ならびにN=50核へのβ崩壊の実験結果との比較を行い,近似的には(g_<9/2>,p_<1/2>)^<-(50-Z)>_p,(g_<7/2>,d_<5/2>)^<N-50>_n配位でこれらの核が記述出来ることを示した. 3.^<100>Snの構造と崩壊に関する予備計算 以上の結果にもとづき^<100>Snを中心としたA〜100領域のエネルギー準位の予備的計算を行った.その予備計算にすると^<100>Snの基底状態は90%以上(g_<9/2>)^<10>_p×(g_<9/2>)^<10>_n閉殻成分からなることが示された.またこの基底状態の^<100>Inへのβ崩壊の検討も開始した.現在の計算結果によれば^<100>SnはGT遷移により^<100>Inの第1 J=1^+状態(GR共鳴状態)へ遷移する極めて特徴ある状態であることが示された. 以上の研究により^<100>Snを中心とした陽子過剰核の研究は不安定核の構造,β崩壊に関する極めて重要な問題を含んでいることが判明した.
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