研究概要 |
1.RNase Rhの改変体中本年度計画に記したW491に加えてK108Lを酵母中で発現し、2段階のカラムクロマトグラフィーで大量に作成しX線結晶解析のグループに供給した。K108L改変体は基質であるdinucleosidephosphate、XpG(XはA,G,U,Cのいずれか)に対するKmがnative酵素と変わらず最大速度が3%と減少しており、同様に高分子基質RNAに対する活性が低下しKmの値が変化しなかった。K108L改変体はケージが基質と結合能があり時間分割ラウエ法に適した改変体と考えられる。RNase Rhの塩基認識部位を構成するY57の改変体についてはAla,Ile,Gly,Val,Met,Phe,Trp等の改変体を作成したが、これらのあるものは低分子基質に対しては活性の減少を見せるが、高分子基質に対して活性の減少が少なく本研究に適したものを見つけることが出来なかった。 2.RNase S-S-peptide系を利用した実験。S-peptideのHis12→Pheの改変体は化学合成で作成した。これにS-proteinを加えても1%以下の酵素活性を示しており、ラウエ法に適したサンプルと考える。 3.従来RNase A cDNAは大腸菌で発現しているが、発現量が少なく問題があるので、RNase AをコードするcDNAを取得しこれを酵母中で発現すべく、この準備を進めている。RNase AにはN-グルコシドを結合する事の出来る配列が存在し酵母での発現時に大量の糖鎖が結合しX線結晶解析、活性の測定の妨げとなることが予想されるのでこの糖鎖配列除去と酵母でのシャトルベクターへのつなぎ換えを行いつつある。
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