研究概要 |
1)ストップトフローX線散乱法により,アロステリック蛋白質(ATCase)のT->R転移を観測した。従来,既に基質アナログである琥珀酸とカルバミル燐酸の反応については,論文として刊行することができたが,基質であるアスパラギン酸とカルバミル燐酸の反応については,論文にしていなかった。今回のデータを基に論文として刊行することができると思われる(Stanford大・鶴田らとの共同研究)。 2)ATCaseのミュータントを使った実験を行い,T型,R型にそれぞれ偏った構造を示す状態を作り,X線散乱で反応を追跡した。予期したような結果が得られたと思われる。現在データ解析中である。 3)上記の反応を,アロステリック転移と並行的に反応を直接捉えるプローブで追跡するために,化学緩和法の装置を試作した。これが今回の科学研究費で最もサポートとして使わせていただいた部分である。まだテスト反応測定中であるが,10msのオーダーの反応であれば,追跡できるようである。 4)X線散乱用のストップフロー装置の改良を行った。特に不等量混合の場合に向いたミキサ-を開発した。その結果は,秋の生物物理学会で発表した。 5 )ここで開発したストップフローX線散乱法は,その他蛋白質の折り畳み過程の解明にも用いられ,大きな力を発揮した。
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