| 研究概要 |
微粒子のレーザーマニュピレーション法と顕微分光法,マイクロ電気化学法を駆使して,i)単一油滴/水界面における物質移動,電子移動の研究,並びにii)単一高分子微粒子中における色素イオンの拡散ダイナミックスの研究を行い,微小反応環境場の空間的構成を目指した基礎的な検討を試みた。単一油滴/水界面における物質移動の研究においては単一油滴中の各種のフェロセン誘導体を電気化学酸化し,これに伴うフェロセン誘導体の油滴-水相間の物質分配過程を直接測定した。その結果,フェロセン誘導体の油/水分配比と相関して物質移動速度が変化することを実験的に明らかにした。また,単一油的/水界面の電子移動速度を電気化学的手法並びに分光学的手法により直接測定可能であることを示すとともに,その速度定数は油滴サイズが小さい程大きくなるという,マイクロメートルサイズ効果を見い出した。更に,レーザーマニピュレーション・顕微分光法により,単一高分子微粒子中への色素イオンの吸着過程を検討した結果,色素イオンは微粒子中に均一に吸着するのではなく,樹脂の表面層3μmに吸着すること,また,時間とともにその吸着部位が樹脂内部に浸透していくことを明らかにした。このような研究結果は共焦点レーザー顕微鏡を用いた樹脂内の色素イオンの3次元空間分布解析からも裏付けされた。
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