研究概要 |
1)本研究では,トリス(ビピリジン)ルテニウム(II)錯体を可視光増感剤として用いて,種々の金属クラスターを触媒として二酸化炭素をメタンに還元することを検討した。犠牲試薬としてEDTA,電子伝達剤としてメチルビオロゲンを用いた系で,高分子保護白金およびルテニウムが単独金属クラスターとして優れていた。また白金/ルテニウム2元金属クラスターも活性であった。さらに非イオン界面活性剤の作るミセルで保護された金属クラスターは,より活性であった。 2)生成するメタンが二酸化炭素から由来していることを確めるため^<13>CO_2を用いて,同様の実験を行なった。その結果,アルコール還元法で調製した高分子保護金属クラスターでは,殆んどがアルコールの分解に由来していた。しかし,非還元法で調製した非イオン界面活性剤の作るミセルに保護されたルテニウムクラスターを用いたときには,金メタンの3分の2はCO_2由来であった。 3)電気化学的二酸化炭素の還元では,銅または銅合金の電極が還元効率がよいと知られている。我々もCu/Pd,Cu/Ptの2元金属クラスター合成に世界ではじめて成功したので,これらを用いて二酸化炭素の光還元を試みたが,メタンの生成は確認できなかった。
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