研究課題/領域番号 |
06239232
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
七田 芳則 京都大学, 理学部, 助教授 (60127090)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | レチナ-ル / ロドプシン / シス-トランス異性化 / 部位特異的変異蛋白質 / ホスホロチオエイト法 / レーザー分光法 / 極低温分光法 |
研究概要 |
研究実施計画に基づいて、以下の結果を得た。まず、ロドプシン発色団の高効率異性科反応を制御していると考えられるアミノ酸残基のうち、立体相互作用を起こすと考えられるTrp残基、静電的相互作用を起こすと考えられるGlu残基を置換した変異ロドプシンを作成することを試みた。まず、これらのアミノ酸残基をGlyあるいはkAlaに置換するために、オリゴヌクレオチド(変異導入プライマー)を合成した。次に、これらの合成オリゴヌクレオチドを用いて、phosphorothioate法により、ロドプシン遺伝子に各変異を導入した。その後、変異遺伝子を293S培養細胞系で発現させ、変異ロドプシンを調製した。その結果、合計6種類の変異ロドプシンの調製に成功した。そのうち、Trp残基をAlaに置換したもの、および、Pheに置換したものについて、極低温での光反応を検討した結果、初期中間体のスペクトルが変化することがわかった。なお、レチナ-ルの構造変化をロドプシンのα-ヘリックスに対して決定する試みは、極低温での試料の凍結によるロドプシン及び中間体の遷移双極子モーメントの不均一性を考慮して、解析を継続している。 ロドプシンの第一光産物であるフォトロドプシンの生成過程は、ピコ秒レーザーでは観測できないほど速い。そこで、8員環レチナ-ルを発色団とするロドプシンアナログを試料として、アップコンバージョン法を利用したフェムト秒蛍光分光により、励起(蛍光)状態を直接観測する事を試みた。その結果、励起状態の寿命は60フェムト秒の時定数を持つことがわかった。また、測定波長を変えて寿命を測定したところ、すべての波長で同じ寿命を示すことがわかった。以上の結果から、ロドプシンの励起状態は60フェムト秒という極端に短い時間でシス-トランス異性化反応を起こし始めると推定された。
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