研究課題/領域番号 |
06239248
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
三澤 弘明 徳島大学, 工学部, 助教授 (30253230)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1994年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 刺激応答性高分子ゲル / マイクロゲル / 近赤外レーザー光 / 放射圧 / 相転移 |
研究概要 |
本研究においては、近赤外レーザー光(1064nm)の照射によりレーザー誘起相転移を示すマイクロメートルサイズのポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)ゲルを光反応制御のための環境場として用い、その親水・疎水的環境や、物質透過性を近赤外レーザ光によって制御し、そこで生起する光反応ダイナミックスを精密に制御する方式を確立することを目的としている。本研究を推進するために、平成6年度は申請組織が現有するレーザー捕捉・分光・反応システムに高性能分光器を導入し、蛍光プローブ法によりレーザー誘起相転移にともなう微小PNIPAMゲルの環境変化を検討した。さらに、ゲルの相転移に与える近赤外レーザー光の放射圧の影響についても検討を加えた。 1-アニリノナフタレン-8-スルホン酸(ANS)は、微視的な極性変化に応答する蛍光プローブである。このANSを含む水溶液中で微小PNIPAMゲルのレーザー誘起相転移にともなうANSの蛍光スペクトル変化を観測したところ、収縮した部位からのみ470nm付近に発光極大を持つ高強度の蛍光スペクトルが観測された。これは室温において親水的な性質を有するPNIPAMゲルが、レーザー誘起相転移により疎水的環境に変化したことを示すものであり、近赤外レーザー光により光反応の環境場の性質を局所的に制御できることを示唆している。また、近赤外レーザー光の照射により発熱をともなわない重水中で、微小PNIPAMゲルに1064nmレーザー光を照射しながら、ゲルの体積変化を観測したところ、通常35℃で起きる相転移が26℃で観測された。これは、26℃において既に不安定な状態にあるPNIPAMゲルに近赤外レーザー光の光圧が作用し収縮が誘起されたものと考えられ、光-熱モードではなく、光圧モードによりゲルの相転移、すなわち環境場の制御が可能であることを示している。
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