燃焼連鎖において重要な反応 HtO_2→OH+Oに対して衝突径数を規定した反応の観測を試みた。即ち、超音速ジェット中にクラスターO_2・H_2Sを生成し、193nm光照射によって反応対H・O_2へ変換し、その反応対から生成するOHの振動・回転状態の分布を測定した。反応対は、HがO_2の重心へ向う衝突、つまり衝突径数のOに近い反応性衝突のみを観測する条件を与えている可能性が高い。OHの回転状態は、通常の2分子反応により生成するものが回転励起しているのに対して、クラスターからのものは、低い回転準位の分布が多くなっている。これは(1)H_2Sの光解離の際近くにいるO_2の効果があり、H原子の衝突エネルギーが低くなっているため、(2)衝突径数がOに近いために全角運動量が低く、回転量子数も低くなっているためであると考えられる。またOH(X^2Π)の2つのスピン-軌道状態、ラムダ二重項状態の分布は通常の条件とほぼ同様の結果が得られた。OHの吸収線幅は多少ブロードニングが見られ、熱平衡条件よりもOHが速く運動していることが見出された。
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