研究課題/領域番号 |
06239260
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
富宅 喜代一 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (00111766)
|
研究分担者 |
美斉津 文典 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (20219611)
|
研究期間 (年度) |
1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | クラスター / アンモニウムラジカル / 光イオン化 / トンネル反応 / フェムト秒レーザー分光 / 光解離分光 / マグネシウムイオン / カルシウムイオン |
研究概要 |
本研究では、光化学の反応場の制御の可能性を検討する目的で気相クラスター内の反応の研究を進めている。平成6年度は、(NH_3)_nの光分解で生成するNH_4ラジカルを含むクラスター〔NH_4(NH_3)_n〕に注目して、クラスターの生成過程、安定性とイオン化ポテンシャル(IP)の検討を行った。寿命測定の結果、10ps程度の寿命でNH_3+Hに解離するNH_4に較べ、n=1の寿命は1<τ<6μsと見積もられた。また、n=2、3の寿命は6<τ<160μs、n≧4では160μs 以上と見積もられ、クラスター生成と共に急速に安定化される。この安定化の機構を調べるためにIPの測定を行い、既知のNH_4^+(NH_3)_nの結合エネルギーの値を用いてNH_4(NH_3)_nの△H_n,_<n-1>を決定した。この結果、NH_3の配位による基底状態の安定化でエネルギー障壁が高くなり、トンネル反応が抑制されることが明かになった。またサイズの大きなクラスターのIPは単調に減少し、n=∞に外挿したIPは液体アンモニアの光電子放出の推定値(1.4 eV)と一致することが明らかになった。これらの結果は、サイズの増加と共にRydberg電子がクラスター内に非局在化することを示唆していると考えられる。この研究課題の一環として、レーザー蒸発法で生成したMg^+やCa^+イオンと水クラスターの反応を検討した。これらの反応では、生成物としてMg^+(H_2O)_nとCa^+(H_2O)_nの他に、金属イオンの酸化反応で生じるMgOH^+(H_2O)_mとCaOH^+(H_2O)_kが特定の配位水数でのみ特異的に生成することを新たに見出した(5≦m≦15、4≦m≦13)。この生成物のスイッチング機構を調べるために、光解離実験と理論計算を行った。この結果、生成物のサイズ依存性は、MOH^+の水和エネルギーがM^+に較べ非常に大きいことに起因することを明かにした。また、これらの研究と並行して、フェムト秒レーザーを用いたパラメトリック発振器を試作し、450-700nmの波長領域で約200 fsのパルス光が得られることを確認した。今後は、このレーザー光源を用いて、NH_4(NH_3)_nの生成過程を実時間で検討することを計画している。
|