研究課題/領域番号 |
06240209
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
早川 洋一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (20208606)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ヒトパピローマウイルス / 癌遺伝子産物 / 微生物代謝産物 / グリア細胞 / Streptomyces / anguinomyin |
研究概要 |
初代ラットグリア細胞にヒトパピローマウイルス(HPV)のE6およびE7遺伝子をトランスフェクション法により導入し、形質転換細胞を作成した。この細胞を用いて、E6、E7遺伝子導入細胞に特異的に作用し、これらの癌遺伝子産物の機能を阻害する物質を微生物代謝産物から探索した。その結果、Streptomyces属に属する土壌分離放射線菌の培養物中に、E7遺伝子導入細胞に対して特異的な細胞死を誘導する2種の活性物質を見出した。その構造は^1HNMR、^<13>CNMR、^1H-^1HCOSY、HMQC、HMBC、NOESYにより決定し、1987年に我々が報告したAnguinomycinAおよびBの類縁体であることから、それぞれAnguinomyinCおよびDと命名した。 AnguinomyinCおよびDはヒトパピローマウイルスのE7遺伝子およE6、E7遺伝子双方を導入したグリア細胞に対しては細胞死を誘導したのに対し、ラット胎児の大脳皮質より調製した正常グリア細胞に対しては細胞増殖の停止のみを誘導した。さらに、ラットの正常線維芽細胞3Y1に対して種々の癌遺伝子を導入して形質転換した細胞を用いて検討したところ、Anguinomyin類はアデノウイルス12型ゲノムおよびそのEIA遺伝子、SV40、srcで形質転換した3Y1細胞に対しては細胞死を誘導したが、rasで形質転換した細胞に対しては親株の3Y1細胞と同様の増殖停止作用を示した。したがって、Anguinomycin類はHPV癌遺伝子産物に直接作用しているのではなく、上記の種々の癌遺伝子の標的となっている共通の細胞因子に作用しているものと考えられる。また、フローサイトメトリーで解析した結果、Anguinomycin類は3Y1細胞の細胞周期をおもにG1期で停止していることが判明した。これらの効果はすべて0.1〜1ng/mlという低濃度で観察された。
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