研究概要 |
1.ジオールデヒドラ-遺伝子の単離と塩基配列の解析および大量発現 本酵素の60Kサブユニットの部分アミノ酸配列をもとに合成したオリゴヌクレオチドをプローブとして,Klebsiella oxytocaのゲノムDNAライブラリーをスクリーニングした。単離した12個のクローン中の5個に酵素活性の発現が認められた。これら5個のクローンの挿入DNA断片に共通に存在している領域には,4個のopen reading frame(ORF)が連続して存在していた。2番目から4番目のORFを発現ベクターpUSI2Eに組み込んで大腸菌JM109に導入し,IPTGで誘導をかけると,親菌の50倍以上の量のアポ酵素を発現させることができた。得られた組換え体酵素は,ゲル電気泳動での移動度や抗体に対する反応性が親菌の酵素と一致していた。また2次元電気泳動法により,これら3種類のポリペプチドが会合して機能を有するジオールデヒドラーゼを形成していることも明らかになった。遺伝子の塩基配列の解析により,3種類のサブユニットはそれぞれ554,224,173個のアミノ酸残基より成り,分子量が60.348,24.113,19.172であることが判明した。 2.組換え体ジオールデヒドラーゼの精製と性質 大量発現された組換え体酵素は溶解度が低いため粗膜画分に局在していた。この粗膜画分より1%Brii35を用いて酵素を可溶化し,DEAEセルロースカラムクロマトグラフィーを行うだけで酵素を単一にまで精製できた。精製酵素の比活性や分子量,ビタミンB_<12>補酵素およびプロパンジオールに対するKm値は,K.oxytocaの精製酵素で報告されている値とよく一致していた。SDS-PAGEより算出されたサブユニットの分子量は60K,30K,および19Kであった。
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