研究概要 |
最近、報告者は二ヨウ化サマリウムを用いるケチルラジカルカップリング反応がカルボニル基近傍の水酸基と三価のサマリウムカチオンとのキレーションにより完全に立体制御されることを見出した.この新しい立体制御法を分子間ケトン-オレフィン-カップリング反応に適用した.α-ヒドロキシケトン(1)とアクリロニトリルとを二ヨウ化サマリウムで処理したところ,シン-ジオール(2)が高立体選択的に良好な収率で得られた.ラジカルアルセプターとしてクロトン酸エチルを用いた場合でも1との付加反応は高立体選択的に進行し,シン-ラクトン(3)をほぼ単一の生成物として与えた.これらの分子間反応がα位の水酸基により立体制御されていることは明らかである.
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