研究概要 |
1.塗布法による希土類-貴金属複合酸化物被覆電極の作製 酸化ルテニウム電極に対する一連の希土類元素の添加効果を調べるため、RuO_2(70%)-LnO_2(30%)/Ti(Ln=Y,La,Ce,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Yb)の組成で電極を作製し、続いて興味深い特性を示したRuO_2-La_2O_3/Ti系電極(下記)についてランタンの添加割合を変化させた電極を8種類作製した。 2.希土類-貴金属複合酸化物被覆電極の構造解析 上記のRuO_2(70%)-LnO_2(30%)/Ti系電極12種類及びRuO_2-La_2O_3/Ti系電極についてXRD分析したところ、RuO_2-La_2O_3/Ti系電極のLa-rich組成の電極以外は、全てRuO_2の回折ピークのみが得られた。このことは、添加した希土類は、酸化ルテニウムの結晶化を抑制し、酸化ルテニウムと非晶質相を形成していることを示している。SEMにて電極表面を、EPMAにて組成を観察したところ、いずれの組成の電極においても、酸化ルテニウムの一部が単独の結晶粒子となって所々に析出していることが判明した。希土類錯体の添加効果のより詳細な解明については、目下検討中である。 3.希土類-貴金属複合酸化物被覆電極の触媒特性の評価 上記のRuO_2(70%)-LnO_2(30%)/Ti系電極12種の電極につき、0.5M硫酸水溶液中でのサイクリックボルタンメトリーを行い活性表面積を評価したところ、RuO_2-La_2O_3/Ti系電極が最高の活性表面積を与えた。次にこの系につき、種々のランタン組成のRuO_2-La_2O_3/Ti電極を作製して活性表面積を測定したところ、RuO_2(70%)-La_2O_3(30%)/Ti電極が最高値を示した。 4.ゾル-ゲル法による希土類-貴金属複合酸化物超微粒子の合成 塩化ルテニウムと塩化ランタンを出発物質として、ゾル-ゲル法により酸化物超微粒子を合成する予備的実験を行っている。 5.希土類-貴金属複合酸化物超微粒子のチタン基板への被覆 酸化物超微粒子をチタン基板に被覆する方法を種々検討し、酸化物超微粒子をSnCl_4とSbCl_3のブタノール溶液(95:5)に懸濁させて焼成すると、電気伝導性を有するアンチモンドープド酸化スズSnO_2(Sb)をマトリックスとした被覆層が形成され、電極として十分に機能し得ることを確認した。
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