研究概要 |
本研究では高温構造用材料として注目される含希土類α-サイアロンを電子論に基づいて設計することを最終の目的として,モデルクラスターとして希土類錯体をとりあげ,その電子状態をDV-Xα法により詳しく調べ,実験的に知られている諸物性との対応を統計的に調べた. 高性能ワークステーションにより,第一原理分子軌道法によって計算を実行した. その研究の成果は以下のとおりとなる。 1)希土類-窒素クラスターについての価電子のレベル構造を,とくに4f電子の化学結合への寄与に注目して調べた.その結果,4f電子,5d電子ともに化学結合にはほとんど寄与していないことが判明した. 2)α-サイアロンのモデルクラスターとして,希土類を含む窒化シリコンクラスターについて計算し,1)の場合と比較した. 3)2)において得られた結果を,実験から報告されているα-サイアロン中への固溶度など各物性値と比較した. 4)計算結果から材料の特性を支配するパラメーターとして例えば,4f電子のエネルギーレベルや希土類元素と配位子との結合次数などを抽出し,これをもとに実際の材料設計を計算機実験により行った.
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