研究課題/領域番号 |
06242101
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岡本 佳男 名古屋大学, 工学部, 教授 (60029501)
|
研究分担者 |
菅原 正 東京大学, 教養学部, 教授 (50124219)
西郷 和彦 東京大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80016154)
藤原 隆二 島根大学, 理学部, 教授 (10028847)
青山 安弘 (青山 安宏) 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 教授 (00038093)
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
118,800千円 (直接経費: 118,800千円)
1996年度: 35,100千円 (直接経費: 35,100千円)
1995年度: 53,300千円 (直接経費: 53,300千円)
1994年度: 30,400千円 (直接経費: 30,400千円)
|
キーワード | 有機結晶 / 分子認識 / 不斉識別 / 分子配列 / X線解析 / クリスタルエンジニアリング / 結晶反応場 / 包接結晶 / 多糖誘導体 / 誘起CD / ジアステレオマ- / 光学分割 |
研究概要 |
以下に5課題についての研究成果をまとめる。 結晶性高分子による不斉分子認識: キラルな結晶性多糖誘導体によるラセミ体の光学分割を分子認識の観点からとらえ、その機構をNMRやコンピュータシミュレーションを駆使し分子レベルで解明し、高分子構造と分子認識、機能の発現との関係を明らかにし、優れた光学分割能を有する高分子の分子設計への指針を得た。また、フェニル基上のパラ位にボロン酸残基を有する立体規則性ポリフェニルアセチレンが様々の光学活性化合物存在下、主鎖の共役二重結合領域にキラル化合物の絶対配置、立体構造を反映した分裂型の誘起円偏光二色性(ICD)を示すことを見い出した。 有機結晶における分子配列と反応の制御:アントラセンのビスレゾルシン誘導体が2次元水素結合ネットワークに基づく多孔質結晶を与え、種々のゲストを化学量論的に取り込むのみならず、空孔内Diels-Alder反応の触媒となるなど、真の「有機ゼオライト」であることを見いだした。また、結晶構造解析システムを用いた構造解析により、アントラセンやアントラキノンのビスレゾルシン、ビスピリミジン誘導体などのorthogonal aromatic triadにおける制御された分子間相互作用を利用することにより、結晶内に芳香環カラムを意図的に構築できることなどを明らかにした。 包接結晶のX線解析による分子認識機構の解明:キラルな酒石酸誘導体をホストとし、エナミドをゲスト分子とする二種類のホスト・ゲスト包接化合物結晶に紫外線を照射することにより、キラリティーの異なるキノリンが生成する反応を、二種類の包接結晶に光照射する前のX線結晶構造解析から、光照射後の反応生成物の構造を予測できるか否かについて詳細に調べた。 有機結晶のクリスタルエンジニアリング: 高度に構造規制された有機結晶の合成を分子認識に基づくクリスタルエンジニアリングの観点からとらえ、反応性結晶の合成と光学活性結晶の調製を検討し、ジアステレオマ-塩の結晶化過程における分子認識機構の解明をX線結晶構造解析の結果を基に行った。 結晶反応場における中間体の解析と制御:アリールアジドの結晶に、低温で紫外線照射を行い、発生させたナイトレンは、気相、溶液中と比較し、速度論的に著しく安定であり、特に、P-カルボキシルフェニルナイトレンの場合には、室温で10日という驚異的に長い半減期をもち、このような結晶環境下で光化学的に発生したアリールナイトレンは、反応場の分子環境を認識しつつ挙動することを、ナイトレンの消減速度に関する熱力学的パラメター、生成物分析より明らかにした。
|