研究課題/領域番号 |
06242213
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
田村 類 愛媛大学, 教養部, 助教授 (60207256)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1994年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | ラジカルホスト / 包接錯体 / 固溶体結晶 / 光学分割 / 再結晶 / ラセミ体 / スルホニウム塩 / 2級アルコール |
研究概要 |
ラジカルホスト分子の合成と、固溶体の光学分割法の開発の2つの研究テーマを並行して押し進めた。 1.ラジカルホスト分子の合成 ラジカルホスト分子を用いた包接錯体の生成とその固相有機反応への利用に関する研究には前例はない。著者はC_2対称性の1,1′-ビ-2-ナフトールから2種類のC_2対称性ピラジカルを合成し、結晶構造解析とESRによりその性質を明らかにした。次いで、種々ゲスト分子に対するホスト分子としての包接能力を調べた。 2.固溶体の光学分割 ラセミ体や非ラセミ体の「単純な再結晶による光学分割」が可能な場合として、(1)ラセミ混合物の優先晶出法による結晶の光学富化と(2)非ラセミ体の再結晶によるラセミ化合物結晶の析出に伴う母液の光学富化、の2例があり、ラセミ化合物結晶そのものの再結晶による光学分割は不可能と考えられていた。筆者は、最近その例外を見出し、ラセミ化合物結晶を形成するある種のスルホニウムアルコール(ST)のラセミ体の再結晶により、母液中で最高98%eeの光学富化が起こるという光学分割現象を見出した。この異常な光学分割現象のメカニズムの解明を目指して、まずSTの結晶の性質を調べた。ところ、対象としている化合物は固溶体と一部ラセミ化合物の性質を持つ新しいタイプのエナンチオマーの混合物であることが判明した。従って、再結晶条件に依存して、ラセミ化合物結晶が析出したり、光学活性な混晶が析出した。また、同時にこのタイプの化合物の高効率的な光学分割法も開発することができた。通常ラセミ化合物結晶を形成しているものの中には、実はこのタイプの化合物がかなり含まれているのではないかと予想している。もし、そうであればこの方法は「単純な再結晶による光学分割」の3番目の方法となるであろう。
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