研究課題/領域番号 |
06243101
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
池田 龍一 筑波大学, 化学系, 教授 (90022631)
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研究分担者 |
山下 正廣 名古屋大学教養部, 助教授 (60167707)
大木 寛 筑波大学, 化学系, 助手 (60241783)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1994年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | ハロゲン架橋錯体 / 一次元電子スピン拡散 / マグノン / ソリトン / ^1H NMRスピン格子緩和時間 / ^<13>C固体高分解能NMRスペクトル |
研究概要 |
金属金属結合をもつハロゲン架橋一次元錯体が最近合成され、我々のグループにおいて良質の結晶が得られるようになった.本年度はこの系の錯体として[Ni_2(dta)_4]I(dta:ジチオ酢酸)を選び、一次元鎖の電子構造と電子スピンの動的構造を明らかにすることを目的にして、^1H NMRスピン格子緩和時間(T_1)の温度と周波数依存性、および、^<13>C固体高分解能NMRスペクトルの測定を行った.この錯体についてはこれまでに、X線構造解析が行われ、架橋ヨウ素が二つのニッケル原子のほぼ中間に位置しており、Peierls歪みのない電子構造モデルが提案されている.また、単結晶の電子スペクトル、磁化率の温度変化の測定から不対電子スピンが反強磁性的に強く結合した一次元構造が予想されている.また、電気伝導度は半導体的で、室温で10^<-3>Scm^<-1>の値が測定されている.本研究の室温での^<13>C NMRの測定ではCH_3基炭素の鋭い2本線とCS_2基の非常に幅の広いスペクトルが得られた.後者の異常に広いスペクトルは一次元鎖上にスピン状態の大きな揺らぎが存在していることを意味しており、常磁性スピン構造の存在が裏付けられた.一方、^1H NMRのT_1は100Kと室温の温度範囲で測定周波数の平方根にに対して一次の線形関係を示した.この結果は、Devreuxの電子スピンの一次元拡散運動理論似よってよく説明され、スピンの高速運動の存在が明らかになった.伝導度の結果と比較することによって、得られたスピンの移動現象はソリトン、または、マグノンの励起によるものと推定される.
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