研究課題/領域番号 |
06243212
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
榎 敏明 東京工業大学, 理学部, 教授 (10113424)
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研究分担者 |
宮崎 章 東京工業大学, 理学部, 助手 (40251607)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1994年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | π-d相互作用 / 電荷移動錯体 / 分子磁性体 / 磁性 / 伝導性 |
研究概要 |
本年度は2つの物質系について成果を得た。まず1次元ハイゼンベルグ反強磁性体β´-(BEDT-TTF)_2X(X=ICl_2,AuCl_2)の磁化率、磁化過程を測定した。この結果、両物質ともBEDT-TTF二量体からなるスピンがc軸方向に1次元鎖を構成し、ネ-ル点は22K(ICl_2)、28K(AuCl_2)に観測されることが明らかとなった。磁化率、磁化の解析の結果、鎖内相互作用はJ=87k、鎖間相互作用はJ´=2.1K(ICl_2)、3.1K(AuCl_2)、磁気異方性は50Gと見積もられた。第2のπ伝導電子と局在d電子を持つ磁性体系については、まず(BEDT-TTF)_6Cu_2Br_8について、ESR、プロトン-NMR、高圧下の磁化率、低温4軸X線構造解析の実験を行った。前2者の実験は2次元ハイゼンベルグ反強磁性構造を有するCuスピン系についてのものであり、ESR測定については、反強磁性共鳴測定を行い、その角度依存性から二軸性の磁気異方性の存在を明らかにした。また高圧下のプロトン-NMR測定から、ネ-ル温度が20kbarで常圧に比べて約2倍に上昇することが観測され、高圧下ではスピン系の揺らぎが著しく増加することが観測された。後2者の実験は59Kに観測された半導体-半導体転移(半導体-金属転移)に関するものである。高圧下の磁化率は、小型クランプセルを製作し、SQUID磁化率測定装置を用いて測定を行った。この結果、高圧下において、絶縁体から金属への転移の前駆現象として、反強磁性的磁気相関の著しい増加が観測された。また構造解析の結果、異なる電荷を有する二種類のBEDT-TTF分子の電荷は転移点の低温側で均質化することが観測された。以上の結果は、この転移がMott-Hubburd的性格を有することを示唆するものと思われる。さらに、π-d相互作用系の新物質開発については、酸素を含むドナーBEDO-TTF、セレンを含むドナーBETS、BEDSe-TTF、非対称ドナーC_1TET-TTF、大きい共役系を持つドナーBDT-TTP、TMEO-TTPとCuBr_4^<2->、CuCl_4^<2->CuCl_2Br_2^<2->を用いて錯体を作成しており、幾つかの系で単結晶が得られ、構造解析、磁気測定が進行中である。
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