研究課題/領域番号 |
06244201
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
榊原 俊郎 北海道大学, 理学部, 助教授 (70162287)
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研究分担者 |
天谷 健一 北海道大学, 理学部, 助手 (70261279)
網塚 浩 北海道大学, 理学部, 助手 (40212576)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1994年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 重い電子化合物 / メタ磁性転移 / 磁化測定 / 極低温 |
研究概要 |
CeRu_2Si_2、CeCu_6等の非磁性の重い電子化合物がメタ磁性を示すことが知られている。しかしこのメタ磁性がどういう機構で起こるのか、また非磁性の重い電子化合物に普遍の現象かどうか等についてはまだ十分には理解されていない。この点、より多くの新しい実例を見出していくことが必要である。一方典型物質であるCeRu_2Si_2については最近dHvAの実験からメタ磁性転移の前後でフェルミ面極値断面積にかなり顕著な変化が見られ、4f電子の遍歴から局在への転移ではないかと解釈されている。しかし、大きな有効質量を持つ主要なフェルミ面のメタ磁性転移近傍の変化を直接追跡するにはCeRu_2Si_2の転移磁場B_C〜8Tは明かに低すぎる。これにはB_C〜20Tを持つCe系典型物質の探索が必要であろう(5f系ではUPt_3が典型である)。 このような視点から我々はCeRu_2Si_2の周辺物質のCePt_2Si_2を調べた。この物質はCaBe_2Ge_2型構造の非磁性近藤格子(γ〜80mJ/molK^2)と考えられ、CeRu_2Si_2と同様な磁化率の極大を60K付近に持つ。Gignouxらによりこの物質が約3Tでメタ磁性を示すとの報告があり、これを確認するため300mKまでの磁化を詳しく調べたところ、メタ磁性は認められなかった。この物質は不純物(ほとんどfreeなCe^<3+>)が混入しやすく、Gignouxらの結果はこの寄与をBrillouin関数で差し引いて得たものである。我々の測定の結果、この不純物はT_K〜数Kの近藤不純物であり、Gignouxらの解析に問題があることが解った。CaBe_2Ge_2型構造の化合物は一般に低残留抵抗の良質の結晶を得ることが困難であり、今後改善が望まれる。 物質探索と平行して我々は典型物質CeRu_2Si_2のメタ磁性が相転移であるかどうかを調べた。これはdHvA効果とは相補的な情報を与える。高純度試料(残留抵抗比〜400、大貫氏提供)を用いて極低温下(90mK)で磁化測定の結果、磁化に不連続な飛びは無く、B_Cにおける微分磁化率をT=0に外挿しても有限値に留まることがわかった。従ってT=0の極限でも熱力学的な意味での相転移は無いと考えられる。弱磁場領域の4f遍歴状態はB>B_Cの高磁場領域まで連続的につながっていることになる。
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