研究概要 |
Ce化合物,U化合物については系統的な物質探索が行なわれ,重い電子系,磁化的近藤状態,混合原子価状態,超伝導状態などについて大変興味ある研究成果が得られている。しかしこの興味はCe化合物,U化合物のみに限定されている訳ではない。Sm化合物でも異常が報告されているが,異常を示す化合物の報告は少なく,系統的研究も少ない。我々は新らしいSm化合物の探索を行ない,結晶構造をX線で測定し,電気抵抗や熱伝導などの輸送現象,帯磁率など磁気測定,比熱など熱測定を広い温度範囲で行ない,その低温挙動を調べた。我々は先づSmNiSn,SmPdSn,SmPtSnの三種の三元化合物を作製した。いずれの試料も低温で反強磁性となり,ネ-ル温度TNは各々9.3K,12.0K,3.5Kであった。どの試料もTN以下で第2の相転移があることは興味がある。第2の相転移の起源は今のところ不明である。SmNiSnはTN異常の温度で近藤型と思われる電気抵抗挙動があり,これにも注目して測定を進める予定である。その他にSmCu_2Si_2,SmNi_2Si_2の試料も作製した。以上いずれの試料もSmをCeで置き換えた試料は極めて強い異常が知られているので,その参照物質の研究としても貴重なデータとなることが期待できる。又第2の相転移の特徴を明らかにして,Sm化合物の性格を明らかにすることが期待できる。
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