研究課題/領域番号 |
06244214
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
太田 幸則 名古屋大学, 工学部, 助手 (70168954)
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研究分担者 |
小栗 章 大阪市立大学, 理学部, 講師 (10204166)
井上 順一郎 名古屋大学, 工学部, 助教授 (60115532)
前川 禎通 名古屋大学, 工学部, 教授 (60005973)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 強相関電子系 / 厳密対角化法 / 周期アンダーソン模型 / t-J模型 / 近藤格子模型 / 酸化物高温超伝導体 / 重い電子系 / ハルデン系 |
研究概要 |
大型計算機を用いた数値的(あるいは計算物理学的)手法は、強相関電子系を取り扱う信頼できる解析的手法が確立していない現在、こういった系の物理を考える際極めて有効な手段である。本研究では、有限系の数値的厳密対角化法を用いて、周期アンダーソン模型及び近藤格子模型、さらに関連する種々の格子模型の、基底状態及び低エネルギー励起を調べた。平成6年度に得られた代表的な研究成果は以下の通りである。(1)重い電子系は典型的な強相関系であり、その物理は周期アンダーソン模型あるいは近藤格子模型のなかに含まれていると考えられる。本研究では、こういった模型の一粒子励起スペクトル、運動量分布関数等、いくつかの動的および同時刻相関関数を、厳密対角化の方法によって調べた。そして、ギャップ近傍の状態あるいは「重い電子バンド」の状態の詳しい解析を行い、その形成の起源について新たな観点を加えた。(2)二次元t-J模型のハーフ・フィリング近傍の電子状態は、銅酸化物高温超伝導発現機構との関連で興味深い。我々は、この模型のスピンと電荷のダイナミクスを、少数有限系の数値的厳密対角化法を用いて調べ、ホール濃度が小さい領域では、(i)動的密度相関関数の振る舞いは、あたかも、ドープされたホールの数に等しい数の、特徴的エネルギー・スケールtを持つ、凝縮したボソンからなる系における励起のように見えること、そして(ii)動的スピン相関関数は、特徴的エネルギー・スケールJを持つフェルミオン系のそれとコンシステントであること、を見いだした。さらにこれがいわゆるスピン・バッグ描像で説明がつくことを示した。(3)一次元Ni酸化物Y_2BaNiO_5は、いわゆるハルデン磁性を示す。最近この系への正孔の導入が試みられ、新たなる金属状態実現の可能性が問題となっている。我々は、この系の低エネルギー電子状態に対する模型を構築し、これを数値的手法により調べた。
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