研究課題/領域番号 |
06244219
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鈴木 孝至 広島大学, 理学部, 講師 (00192617)
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研究分担者 |
藤田 敏三 広島大学, 理学部, 教授 (20004369)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1994年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 強相関電子系 / 三元化合物 / 低温強磁場物性 / TbNiSn / メスバウァー分光 / 磁場中比熱 / 磁気熱量効果 / 超音波 |
研究概要 |
本研究に対する本年度配分額は、計画調書に記載した設備備品費の要求額を大幅に下回った。そこでこの状況を踏まえ、研究調書に記載した研究計画を一部変更し、本研究では、強相関電子系三元化合物のうち重希土類化合物TbNiSnに着目し、この磁性のメカニズムを調べた。 この物質に対する研究は、まだ殆ど行われていない。最近、栗栖等よってTbNiSnは、低温で複雑な磁気秩序相をもつ反強磁性体であることが報告された。我々はこの物質に対し、メスバウアー分光、磁場中比熱、磁気熱量効果および磁場中超音波の各実験を行った。メスバウアー分光に用いるSn核ガンマー線源は、本科研費で購入した。本研究から得られた結果は、以下のとおりである。 零磁場中比熱の温度依存性から、これまで報告されていた3つの磁性相に加えて、2.2K以下に新たな磁性相が存在することを発見した。最低温度相は整合相、他は不整合相と考えられる。次に、磁場中比熱および磁気熱量効果の測定を行い、TbNiSnの磁気相図を温度T-磁場H平面上で決定した。この結果、TbNiSnが極めて複雑な磁気相を示すことが明らかになった。更に、CeSb等が強磁場中で強磁性状態に転移するのに対し、この物質では飽和常磁性相に転移することが明らかになった。 TbNiSnの磁性に関するミクロな情報を得るため、メスバウアー分光法によりアイソマ-シフトや内部磁場の温度依存性を測定した。常磁性状態の結果は、局在4p電子と伝導電子の結合がこの物質では強いことを示唆している。内部磁場の結果から、整合相と隣り合う1つめの高温相では、内部磁場が明確に2成分存在するようなスピン秩序構造を持つことが明らかになった。 超音波の実験および比熱の実験から、この物質には明確な結晶場が存在すること、80Kまでの温度領域に4つの状態が存在することが明らかにできた。
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