研究概要 |
本年度は、シリコン高分子における一次元励起子の閉じこめ効果を調べるために、主鎖長を制御したシリコンオリゴマーを作製し、その光学特性を測定した。 アルカリ元素によるハロゲン化シランの縮合重合反応によってシリコン原子をつないでいき、主鎖長が厳密に制御されたシリコンオリゴマーSi_n(CH_3)_<2n+n>(n=2,3,4,5,6,7,8,10,16)を作製した。主鎖長を短くするのに伴い、吸収ピークは高エネルギー側にシフトし、その幅は狭くなった。この主吸収ピークのシフトは一次元方向について励起子が閉じこめられた効果であると考えられる。また主査が短いほど幅が広くなる現象は、励起子の重心運動による先鋭化が起こりにくくなり電子格子相互作用を受けやすくなった結果として理解することができる。さらに、主ピークの約1eV高エネルギー側にはポリシランにおいては見られない小さなピークが観測された。これは、主鎖が無限大と見なせるポリシランにおいて最低励起子に集中していた振動子強度が高エネルギー側の励起準位にも分配されるようになったと考えられる。 また励起子の閉じこめにともなう非線形光学効果の変化を考える上で重要になってくる励起準位構造を調べるためにn=8,10,16の薄膜試料について電場変調吸収法による三次非線形感受率スペクトルの測定を行った。その結果、励起子準位構造がポリシランの場合とほとんど変化はなく、励起状態間の振動子強度は減少することがわかった。
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