研究概要 |
次世代のエネルギシステムにおいて,水素を最終燃料とする事によるエネルギ損失の低減,およびCO_2フリー燃焼を実現化する上で,高効率の水素製造技術の確立が必要となる.そこで本研究では,低質な熱エネルギ源からのエクセルギ再生産を実現するために,比較的低温下で反応が生じるメタノール‐水蒸気改質反応を,200〜400℃程度の中低温廃熱をもちいて行うことを目的とし,メタノールの蒸発過程から改質過程までを連続的に行う反応装置を新たに提案する.具体的には,作動流体を水蒸気とする,微噴霧ノズルから発生される数十umのメタノール微少液滴を含む気液二相流を,多段のヒ-タ群を配した流路内に流動させることにより,熱的損失を低減し、低温熱源のみを用いて液相の蒸発及び気相との混合促進を実現する.研究の第一段階として本年度は,加熱壁面に衝突する噴霧液滴の挙動について実験的研究を行った.また,粒子終端速度に達した液滴群の挙動については,流動場と共に数値解析を行いその運動の予測を行った.実験においては,ノズル下流80mmの位置に設置された加熱壁面に衝突する噴霧液滴群の挙動,及び表面性状の影響などを位相法LDA(PDA)により計測し,その特性を明らかにした.また,数値解析からは反応装置のモデル内の流動と液滴挙動が求められ,加熱板回りの流れ場の特性時間と粒子緩和時間との比により液滴群の平板に対する衝突確率が関係づけられることが判った.
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