研究課題/領域番号 |
06248213
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松岡 健 名古屋大学, 農学部, 助手 (40222294)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1994年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 液胞 / Wortmannin / 輸送シグナル / PI3-kinase / リン脂質 / プロペプチド |
研究概要 |
高等植物細胞の液胞内蛋白質は祖面小胞体上で合成され、ゴルジ装置で分泌経路から仕分けされて液胞へと輸送される。サツマイモ塊根貯蔵タンパク質スポラミン前駆体に存在するN-末端プロペプチド及び(NTPP)や、オオムギレクチン前駆体に存在するC-末端プロペプチド(CTPP)等のプロペプチドが液胞への仕分けシグナルとして働くことが知られている。また、これらNTPPとCTPPの一次構造に類似点は認められないが、NTPPを、持つスポラミン前駆体及びCTPPを持つ改変つスポラミン前駆体は共に液胞へと輸送される。そこで、これらのプロペプチドによる液胞への輸送の機構が同一のものであるか否かをWortmanninに対する感受性を指標として検討した。Wortmannin存在下、野生型または変異スポラミン前駆体を発現している形質転換タバコ培養細胞をパルス標識しチェ-スすると、CTPPにより液胞へと輸送されているスポラミンはほとんど培地に分泌されたが、NTPPにより液胞に輸送される野生型スポラミンは殆ど分泌されなかった。また、CTPPにより液胞へと輸送されている野生型などのオオムギレクチンは殆ど培地に分泌されたが、NTTPにより液胞に輸送される変異オオムギレクチンは殆ど分泌されなかった。以上の結果はCTPPによる液胞への輸送はNTPPによるものよりWortmannin感受性が高い事を示している。さて、Wortmanninは、動物細胞のPI3-kinaseの阻害剤として知られている薬剤である。そこでこの液胞への輸送の阻害が植物細胞のPI3-kinaseの阻害によるものであるかを検討した。PI3-kinaseの失活のWortmannin濃度依存性も、CTPPによる液胞への輸送の阻害のWortmannin濃度依存性とは異なっり、液胞への輸送の阻害には高濃度のWortmanninが必要であった。そこでWortmanninによるタバコ細胞中でのリン脂質、PI3P,PI4Pの合成の阻害を検討したところ、PI3Pを除く多くのリン脂質の合成阻害の濃度依存性が、CTPPによる液胞への輸送の阻害の濃度依存性と類似していた。従って、CTPPによる液胞への輸送には何らかのリン脂質の合成が関わっている可能性が示唆された。
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