研究課題/領域番号 |
06254102
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
植木 彰 自治医科大学, 医学部, 助教授 (90112622)
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研究分担者 |
池田 和彦 東京都精神医学総合研究所, 超微形態部門, 副参事 (30124663)
河野 幹彦 自治医科大学, 医学部, 講師 (40254940)
大塚 美恵子 自治医科大学, 医学部, 講師 (30194210)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1994年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / アポリポ蛋白E / apoE-e4 allele / 遺伝子頻度 / 臨床病型 |
研究概要 |
目的)アルツハイマー病(AD)の危険因子であるアポリポ蛋白E(apoE)-ε4allele(ε4)のAD発症における意義を明確にするため次の点を調査した。1.ADのapoE遺伝子頻度。2.ADの臨床症状(発症年齢、重症度、進行速度)とapoE遺伝子型との相関。3.日本人の一般人口におけるapoE遺伝子型頻度、表現型分布およびその特徴。対象)AD:90例、対照:967例。結果)1.ADのε4遺伝子頻度は31%で対照(9%)より有意に高かった(p<0.0001)。ADの65%が少なくとも1つε4遺伝子を持っており、ε4によるAD発症のオッズ比(危険率)は6.51倍であった。2.ε4(+)型AD(65%)とε4(-)型AD(35%)の臨床症状を比較すると、両群には発症年令に差があり、60-69歳発症では約90%がε4(+)型であるのに比し、70歳以降発症では約40%はε4(-)型であった。しかしながら他の臨床症状(重症度、進行速度)とapoE遺伝子型は全く相関しなかった。3.対照におけるε2,ε3,ε4の頻度は各々4%,87%,9%であり、日本人のε4の頻度は欧米人(15-20%)に比して低かった。特にε4ホモ接合体は0.3%と低く、しかも65歳以上で見つかった3例はすべてADであり、高齢の健常対照にε4ホモ接合体は1例もなかった。またε4の頻度は加齢でも変化せず80歳代まではほぼ一定であった。考察)1.ADでε4の遺伝子頻度が高い点はこれまでの報告を支持するものである。2.(1)apoE遺伝子型で見るかぎり、ADには少なくともε4(+)型とε4(-)型の2種類があり、若年発症ほどε4(+)型の比率が高まることより、ε4にはADの発症年齢を若年化させる作用があると考えられる。両群の境は70歳程度であり、ε4(-)型ADの発症には他の遺伝環境因子が関与していると推定される。(2)ε4(+)型のAD脳はε4(-)型に比してAβの蓄積が強いことが知られているため、ε4(+)型ADの方が痴呆が重症であり進行速度も速いことを仮定したがこのような相関は認められず、発症年令を除いては臨床症状からはapoE遺伝子型を推定出来なかった。このことは痴呆そのものを規定している因子がAβやε4以外のものであることを推測させる。3.日本人ではε4の頻度が低いが、この点がADの有病率の人種差とどのように関係するか今後さらに検討を要する。ε4ホモ接合体ではAD発症の危険性が極めて高く、予測に使える可能性がある。
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