研究課題/領域番号 |
06254210
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
宮崎 香 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 教授 (70112068)
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研究分担者 |
安光 英太郎 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助手 (10182346)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1994年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | がん / 転移 / プロテアーゼ / プロテアーゼインヒビター / 細胞外マトリックス / マトリックスメタロプロテアーゼ / 浸潤 / 診断 |
研究概要 |
これまでに、がんの転移に関係すると考えられる10種類のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)とそれに対する3種類のインヒビター(TIMPs)の存在が明らかにされている。しかし、実際のがん組織での、MMPやインヒビターの動態の詳細は明らかになっていない。本研究ではこれらの蛋白質の癌の診断や治療への応用性を明らかにするために、臨床材料として得られたヒト癌組織におけるMMPs/TIMPsとトリプシンの発現をNorhern blottingによって調べた。 1)悪性度が異なる種々のヒト脳腫瘍組織でのMMPsとそのインヒビターの発現を調べた結果、腫瘍の悪性度に応じてゼラチナーゼB、ゼラチナーゼA、マトリライシンの3種のMMPとTIMP-1が強く発現していた。正常脳組織では、ゼラチナーゼAとTIMP-1が比較的弱く、またTIMP-2が強く恒常的に発現していた。したがって、脳腫瘍の浸潤において、ゼラチナーゼB、ゼラチナーゼA、マトリライシンの3種のMMPの役割が大きいと考えられる。また、癌患者の脳脊髄液中ではゼラチナーゼBが顕著に増加することから、この酵素の脳腫瘍の診断への応用性が示唆された。2)これまで数種の胃がん細胞株がトリプシン様の酵素を多量に分泌していることを見出している。この酵素を完全に精製して構造を解析した結果、これまでにヒトで明らかにされている4種類のトリプシン分子のうち、トリプシン1と同一であることが明らかになった。3)ヒト胃がん組織および卵巣がん組織でのトリプシン1mRNAの発現を調べた結果、胃がん組織では50%以上、卵巣がん組織では良性腫瘍を除いてほぼ100%の確率で強い発現が見られた。これらの結果から、卵巣がんや胃がんの浸潤および腹腔内播種にトリプシンが関与しているのではないかと考えられる。
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