研究課題/領域番号 |
06255214
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
大野 典也 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (60147288)
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研究分担者 |
鎌田 美乃里 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90189259)
中村 真理子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40237433)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | モノクローナル抗体NM-01 / V_3ループ / エスケープ変異株 / III_B株 / 耐性株 / MN株 |
研究概要 |
我々が作成したモノクローナル抗体NM-01は、比較的多くの分離HIV-1株で良く保存されているV_3ループ中央凸部のアミノ酸配列GPGRの近傍に対する特異中和抗体である。そこで、患者の体内でウイルスと宿主免疫系との競合による選択圧の結果として、選ばれてくるエスケープ変異株の形成機序のモデル実験として、この抗体の存在下でHIVウイルスを継代培養し、抗体に対するエスケープ変異III_B株の出現機構の解析を試みた。実施に当たってはIII_B株ウイルスを現株として、全く独立に5系統の実験系を作製して解析した。その結果、ほぼ80日でNM-01抗体に対する耐性株が4系統に於て分離されてきた。この4種類の耐性ウイルス株の3から5種類のDNAクローンを得て、V_3領域の塩基配列を決定した結果、全てenv-DNAの7169番目の塩基がGからAに点突然変異を起こしていた。これはアミノ酸配列で316番目のArgがLysに、すなわちGPGRAがGPGRTに変異したことを示唆する結果であった。 そこで、欧米諸国と我が国に於て臨床上最も多い種類のウイルス株として知られているMN株について、クローン化したMN株を現株として、6系統で同様の実験を試みた。その結果、MNに於てはほぼ150日でNM-01抗体に対する耐性株が5系統で分離されてきた。この5種類の耐性ウイルス株に付いても同様にクローニングののちV_3領域の塩基配列を決定した結果、すべてがenv-DNAの7193番目の塩基がGからAに点突然変異を起こしていた。このことは、NM-01抗体に対する抵抗性を獲得したエスケープ変異MN株は、アミノ酸配列で319番目のArgがLysに、すなわちGPGRAがGPGRTに変異した結果であると推定された。このことは高頻度に変異が起こるとされているHIV-1のenv領域の変異においても機能部位の構造は選択圧に対して、限定された変異のみがprogenyを残しうる事を示唆している。
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