| 研究概要 |
研究代表者は,骨形成タンパク質(BMP)が脊椎動物の体軸形成過程で重要な役割を担っていることをアフリカツメガエル初期胚を用いて明らかにしてきた.なかでもBMP受容体のドミナントネガティブ変異体を用いた解析によって初期胚に内在するBMPが腹側中胚葉形成に関与することを初めて示した.現在,ツメガエル初期胚の体軸のBMPに加えてアクチビンやbFGFなどの中胚葉誘導因子の作用によって形成されると考えられている.そこで,我々は内在のBMPとアクチビン,bFGFとの相互作用をアニマルキャップを用いて解析した.ドミナントネガティブBMP受容体を過剰発現させた胚から切除したアニマルキャップ細胞をアクチビンまたはbFGFを含む培養液中で培養して,その後の細胞分化を形態変化および分子マーカーの変化で調べた.その結果,内在するBMPのシグナルを遮断されたアニマルキャップ細胞はアクチビンとbFGFに応答し,著しく伸長するようになった.また,アクチビンによる背側マーカー(α-actin,goosecoid)の発現が促進され,bFGFによる腹側マーカー(Xhox3)の発現は抑制された.したがって,胚に内在するBMPはアクチビンやbFGFの作用を調節することによって腹側中胚葉形成を促進していると考えられた.
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