研究課題/領域番号 |
06256210
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
SIDDIQUI S.S. 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (60192118)
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研究分担者 |
安田 八郎 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (20200503)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1994年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | C.エレガンス / osm-3 / 頭部感覚受容神経細胞 / Lac-Zレポーター遺伝子 / osm-3遺伝子 / 発現細胞 / プロモータ / キネシン関連遺伝子 |
研究概要 |
C.エレガンスの行動異常株、osm-3変異は、高浸透圧回避不能変異(osmotic avoidance mutations)として分離され、走化性異常やdauerと呼ばれる耐久型幼虫への変態が行なえないなどの特徴を持っている.形態学的には、頭部感覚受容神経細胞のsensory ciliaの伸長が不完全で外界との連絡が遮断されており、sheath cell内の軸索輸送も阻害されている.我々は前年度までに、形質転換アッセイ法によるosm-3遺伝子のクローニングおよび部分的な塩基配列解析を行ない、osm-3遺伝子キネシンスーパーファミリーに属する新規な微小管-モータータンパク質であることを明らかにした. Lac-Zレポーター遺伝子の融合によるosm-3遺伝子の発現細胞の解析を行なった.発現は頭部16個のamphidニューロンと6個のinner labialニューロン、および尾部4個のphasmidニューロンの計26個のニューロンに限られ、きわめて少数かつ特異的であることが判明した.なお、これら26個のニューロンは、すべてその末端が外界に通じているという共通性を持っており、キネシンosm-3がニューロン先端の外部への開口に直接関わっていることを予想させる.今後、osm-3遺伝子プロモータの解析を行ない、神経系内部における特異的発現のメカニズムを明らかにしたい.また、異なるプロモータを用いてosm-3キネシンを周辺のニューロンに強制発現させ、外部開口が起こるのかを問いたい.なお、osm-3変異は家畜における抗線虫薬として広く用いられているイヴァメクチン(IVM)に耐性を示すことが最近判り、osm-3の機能を理解するうえにおいてもIVM耐性機構の分子レベルでの解析を行なう予定である. キネシン関連遺伝子(スーパーファミリー)は酵母から哺乳動物まで普遍的に存在し、それらの機能の多様性および重要性が注目されている.遺伝学的解析やin vitroにおけるタンパク質力学的な研究も盛んであるが、発生学的役割を明らかにしたものは意外に少ない.C.エレガンスにおいては、unc-104およびunc-116もキネシン関連遺伝子変異であることが報告されており、いずれも運動神経の一部に異常が認められている.解像度が高く、様々な突然変異も利用可能なC.エレガンスは、キネシン関連タンパク質の機能を解析するうえで最も有望な系の一つであろう.多細胞動物の神経系におけるキネシンの発生学的役割について、本研究が理解の一助となることが期待される.
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