研究課題/領域番号 |
06256211
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上村 匡 京都大学, 理学部, 助手 (80213396)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1994年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | ショウジョウバエ / カドヘリン / 細胞接着 / 器官形成 / 脂肪再配列 |
研究概要 |
細胞接着分子カドヘリンの、様々な器官形成に果たす役割を個体レベルで解明することを目指した。モデル生物として、遺伝解析の発達したショウジョウバエに注目した。その上皮型カドヘリン(DEカドヘリン)遺伝子の突然変異体を分離して、上皮構築にもたらす影響を検討した。 DEカドヘリン遺伝子の突然変異体では、管形成(Tubulogenesis)に著しい欠損が観察された。ミュータントのマルピーギ管は、野性株のような細長い構造に伸長できずに、細胞の無秩序な集合塊になってしまった。また気管形成においては、構成単位となるトラキアピットの陥入は起きるが、それらの間での融合のプロセスが完全にブロックされた。正常な個体発生においてはいずれの管形成にも、細胞の再配列(Cell rearrangement)が重要な役割を果たしていることが示唆されてきた。上皮シート中で細胞が互いの位置を変えていく時、ひとつの細胞は強固に接着するパートナーを刻々と取り替えると想像できる。ミュータントの細胞では、カドヘリン接着装置のダイナミクス(形成・消失・再集合・不活性化など)が機能せず、上皮好構造に破綻をきたすことが推測できる。 DEカドヘリンがほとんど発現していない神経系に、別のカドヘリンが存在すると予想し、その遺伝子の分離を試みた。DEカドヘリンと脊椎動物のカドヘリンとのアミノ酸配列の比較から、種々のプライマーを合成し、PCR法によりいったんカイコのカドヘリンcDNA断片をクローン化した。その配列を元にデザインし直したプライマーを用いたところ、ショウジョウバエの第二のカドヘリン遺伝子を分離できた。RNAプローブを用いたハイブリダイゼーションの結果、このカドヘリンは神経系で強く発現していたので、DNカドヘリン(Drosophila neural cadherin)と名付けた。
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