研究概要 |
ショウジョウバエの熱誘導プロモータとlet-23のコード領域の全部または一部に対応するcDNAをつないだもの、またはlin-3に関する同様な融合遺伝子を、それぞれショウジョウバエの培養細胞Schneider2に導入した。熱誘導処理後、両者の細胞凝集を調べたが、有意な凝集は見られなかった。細胞が導入遺伝子をもつことは確認したが、Let-23に対する抗体によってはLet-23の発現は確認できなかった。 また、酵母のtwo hybrid systemを用いて、Let-23とLin-3との相互作用を調べたが、有意な相互作用は検出できなかった。ヒト培養細胞TK6と発現ベクターpCDEBによる最初のものと同様な実験を行っている。 C.elegansの熱誘導プロモーターhsp16に活性化型let-60のcDNAを接続した融合遺伝子を、陰門誘導に関して野生型のC.elegansに導入した。この線虫全体を熱誘導(34℃、30分)すると、多くの個体がmultivulva(Muv)の表現型を示す。これは、陰門前駆細胞(VPC)の中で通常陰門を形成するP5.p-P7.pだけでなくP4.p,P5.p,P8.pにおいても導入遺伝子の発現により、陰門誘導経路が活性化されたためと考えられる。このトランスジェニック線虫について、P4.pまたはP8.pの核に弱いレーザー光照射を5-10分行ったところ、よい条件では約40%の個体について、照射されたVPCが陰門誘導を受け陰門様突起(pseudovulva)を形成した。照射されなかったものに同様な誘導が起こったのは%以下であった。この結果は、let-60遺伝子のVPCにおける細胞自律性を示唆している。現在、さらに再現性や効率を高めるための条件の検討を行うとともに、let-23についても調べる予定である。
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