研究課題/領域番号 |
06259205
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大森 正之 東京大学, 教養学部, 教授 (80013580)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1994年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | ラン藻 / Anabaena cylindrica / アデニル酸シクラーゼ / シグナル伝達系 / cAMPカスケード / 抗体 / ウエスタンブロット法 |
研究概要 |
光合成の環境応答機構の全体像を明らかにするためには、環境変化の受容と遺伝子の発現制御とを結ぶ情報伝達機構の解明が欠かせない。我々は糸状性ラン藻にcAMPを二次情報伝達体とするシグナル伝達系(cAMPカスケード)が存在し、それが環境変化に対する細胞の応答に重要な役割をはたしていると考えている。cAMPカスケードの中でも特に重要な酵素は、cAMPを合成するアデニル酸シクラーゼと分解するホスホジエステアーゼである。これらの酵素は外部環境の変化に応じて素早く活性を変え、細胞内cAMP濃度の調節を行っている。cAMPはcAMP結合タンパク質、あるいはタンパク質のリン酸化を介して遺伝子の発現制御や酵素活性の調節を行っていると考えられる。本研究では、ラン藻Anabaena cylindricaを材料に用いて、アデニル酸シクラーゼ遺伝子を単離し、その構造を明らかにした。 MK1010株を用いてAnabaena 7120のライブラリーをスクリーニングした結果、_PBR322を用いたライブラリーから8個、_PQE11を用いたライブラリーから8個の陽性クローンが得られた。これらのプラスミドのインサートDNA(Anabaena DNA)上の制限酵素切断地図を作成し、相互に比較したところ、単離した陽性クローンは9種類に分類された。次にこれらの陽性クローンを導入したMK1010株に含まれるcAMP量を測定した。その結果、6種類のクローンが大腸菌のcya欠損株のcAMP生成能を回復させていることがわかった。このことから、Anabaena 7120のゲノムDNA上には少なくとも6種類のcya遺伝子が存在していることが示唆された。これら6種類のクローンについてMK1010株のラクトース発酵能を回復させる最小領域を同定した。次にAnabaena cylindricaのcyaの上流にTacプロモーターを接続し、シャトルベクター_PRL-6を用いてAnabaena7120に導入した。このAnabaena7120はwild typeの100倍の細胞内cAMP濃度を示したが、増殖速度に顕著な差はなかった。しかし、その細胞をN-freeの培地に移すと黄化した。 昨年度単離した、Anabaena cylindricaのcyaの遺伝子を大腸菌で大量発現させて得たタンパク質を抗原として抗体を作製した。この抗体を用いてcyaを大量発現したAnabaena7120におけるCyaの局在をウエスタンブロット法により調べた。アデニル酸シクラーゼは細胞膜画分にある可能性が高いと考えられる。
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