研究課題/領域番号 |
06260201
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
福島 菊郎 北海道大学, 医学部, 助教授 (70091486)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1994年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 小脳片葉 / カハール間質核 / 垂直眼球運動 / 回旋眼球運動 / 視運動性眼球運動 / 前庭動眼反射 / プルキンエ細胞 / 神経積分機構 |
研究概要 |
垂直及び回旋眼球運動の発現遂行の脳幹機構と、これに対する小脳片葉の関与を調べるために、覚醒ネコで前庭回転刺激を3次元的に与え、中脳Cajal間質核領域の種々のタイプのニューロン群と小脳片葉Purkinje細胞の空間応答特性を解析してきた。本年度は(1)これら中脳領域をGABA作動薬muscimolの微量(0.3ug)注入により化学的に不活性化し、垂直及び回旋眼球運動に及ぼす効果を調べ、(2)pitch回転刺激に応答した小脳片葉Purkinje細胞の発射特性を更に詳細に調べるために、視運動性眼球運動時の応答特性を解析した。結果と考察:(1)一側のCajal間質核の化学的不活性化は上向き或いは下向き方向の眼球保持の障害に加えて、同側眼の持続的な内旋と反対側眼の外旋を起した。Cajal間質核領域の両側不活性化は、更に下向き急速眼球運動の発現をも障害したのに対し、その外側領域の不活性化では上向き急速眼球運動の発現が障害された。これらの結果は上向きと下向きの急速眼球運動の発現に局在があることを示唆する。(2)pitch回転に応答した片葉Purkinje細胞の大多数は反対側の後半規管から興奮性入力を受け、これらは更に下向きの視運動性眼球運動時にも、ほぼその速度成分に一致して発射が増加した。pitch回転と視運動性刺激に対する応答の利得に有意な正の相関が認められた。またこれらの領域へのmuscimol注入により、up-pitch時及び下向き視運動性刺激時の下向き眼球運動の形成が選択的に障害された。pitch回転と視運動性刺激の2種類の刺激に対する同一Purkinje細胞の応答方向が逆になり、結果として生ずる眼球運動の方向と一致したこと、更にこれらのneuron群の不活性化が下向き眼位成分の形成自体を障害したことは、これらPurkinje細胞の応答が垂直眼球速度信号の形成過程に関与することを示唆する。
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