研究課題/領域番号 |
06260206
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
加藤 宏司 山形大学, 医学部, 教授 (30006746)
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研究分担者 |
宮川 博義 東京薬科大学, 生命科学部, 助教授 (90166124)
伊藤 憲一 山形大学, 医学部, 助教授 (40124408)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | VGCC / theta-burst stimulation / LTP / Hippocampus / NMDA receptor / Guinea-pig |
研究概要 |
脳の機能を理解する上で重要な概念のひとつであるシナプスの可塑性に関する実験を行った。シナプス可塑性のモデルのひとつとして長期増強現象が挙げられるが、その機序の違いからNMDA受容体(グルタメート受容体のサブタイプのひとつ)依存性の長期増強とnon-NMDAタイプの二つに分類されている。NMDAタイプのものは、NMDA受容体からのカルシウムイオン(Ca^<++>)流入が重要だと考えられてきたが、これまでその直接的証拠は報告されていない。そこで、本研究ではNMDA受容体依存型長期増強の形成がNMDA受容体だけからのCa^<++>流入なのかあるいは電位依存性カルシウムチャネル(Voltage Gated Calcium Channel;VGCC)からの流入も関与するのかを薬理学的手法を用いて調べた。 実験は、モルモット海馬スライス標本(500μm)を用いて、シナプス入力を加えるためにCA2/CA3の放線層に設定した電極から電気刺激を与え、CA1の放線層から細胞外電位を記録した。そして、長期増強の指標としてフィールド興奮性シナプス後電位(f-EPSP)の傾斜をモニターした。長期増強を誘導するためにθバースト刺激(10回、5Hz、5秒間隔)を用いた。初めに、θバースト刺激による長期増強(θ-LTP)は、NMDA受容体依存型かを見るためにその拮抗薬であるDL-APV(30μM)を灌流した。その結果、一過性の増強は見られるがθ-LTPは完全に阻止された。このことから、θ-LTPはNMDA受容体の活性化を介して形成されると結論した。 次に、このθ-LTPの誘導に電位依存性カルシウムチャネルが関与するかどうかを調べるために、VGCCのブロッカーを用いて実験を行った。VGCCには、L/T/N/P型の4種類あるが、伝達物質放出を調節しているN型を除いた3種類について検討した。3種類のVGCCのブロッカー(L→ニフェジピン、T→ニッケル、P→ω-アガトキシン)が、低頻度刺激のシナプス伝達にはなんら影響を与えないことを確かめた後、θ-LTPに対する効果を調べた。その結果、コントロールのθ-LTPの大きさは、187%(θバーストを加える前のf-EPSPの傾斜を100%として)となるそれに対し、ω-アガトキシン(60nM)を加えるとθ-LTPの大きさは119%とコントロールに比べ約1/4に抑制された。ついで、ニッケル(25μM)存在下では135%と抑制されたが、ニフェジピン(30μM)では174%とほとんど影響は与えなかった
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