研究課題/領域番号 |
06261243
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 |
研究代表者 |
加藤 兼房 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 生化学部, 部長 (50022801)
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研究分担者 |
稲熊 裕 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 生化学部, 研究員 (10250250)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ストレス蛋白質 / リン酸化 / 解離 / HSP27 |
研究概要 |
低分子量ストレス蛋白質hsp27は、細胞内では300-500kDaの重合体で存在するとされてきた。αβクリスタリンが同時に発現してる筋細胞では、hsp27はαBクリスタリンとheteropolymerを形成している。ところがラット組織や培養細胞の可溶性分画を蔗糖濃度勾配遠心法(SDG)にて分画すると、hsp27は重合体(L-hsp27)の他に70kDa以下の位置に沈降する成分(S-hsp27)が存在することを見つけた。U251MGヒトグリオーマ細胞に亜砒酸ストレス(200mM/1h)を負荷して後、細胞を集めSDG分画すると、L-hsp27が減少しS-hsp27が増加していることを見つけた。このL-hsp27のS-hsp27への変換は、細胞をホルボールエステル(PMA)、サイトカイン(IL-1α、TNFα)、オカダ酸などに暴露しても起きることが分かった。これらの薬物はhsp27の合成は誘導しないが、hsp27のリン酸化を促進することが知られている物質であり、また、亜砒酸ストレスの際にも、早期にhsp27のリン酸化が促進されることが知られている。放射性無機リン酸を取り込ませた細胞を使って、リン酸化とL-hsp27の解離の関連性を解析すると、L-hsp27はリン酸化を受けてS-hsp27に変換することが分かった。細胞抽出液の50%硫安分画を用いた無細胞系で[^<32>P]ATPを使ってこの事実を確認した。一方、PMAで前処理し、L-hsp27をS-hsp27に変換させた細胞に熱ストレス負荷すると、熱に対する抵抗性が著しく低下していた。また、ストレス負荷十数時間後に細胞内に増量しているhsp27は大部分L-hsp27として存在した。これらの結果より、L-hsp27の解離はストレスに対する細胞の速やかな防御機構であり、ストレス負荷後数時間以後に蓄積するL-hsp27は、細胞のストレス耐性と密接に関連していることが示唆された。上記の条件下で、αBクリスタリンはリン酸化も受けないし、解離もしなかった。
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