研究概要 |
ヒトでは色素性乾皮症(XP)はUVによるピリミジン2量体(CPD)と(6-4)産物のヌクレオチド除去修復を欠損し,コケイン症候群(CS)は転写活性遺伝子のみのヌクレオチド除去修復を欠損する.われわれは最近XPD cDNAを発現クローニングした.XPD細胞はバルクDNA領域と転写活性遺伝子の両方の修復を欠損するので,本研究では(1)XPD蛋白の構造とヘリカーゼ機能及び修復・転写複合体への関与,(2)日本人XPD患者5名のノザン解析とXPD cDNAのRNA probeによるRNase protection assayによって変異を研究した. 発現クローニングによって得たXPD cDNA(2372bp ORF)は760残基ペプチド(分子量87K,pI7.4)をコードし,DNA/RNA helicase motifs(I,Ia,II,III,IV,V,VI)とDNA結合domain(α-helix/turn/α-helix)をもった.GST-XPD融合蛋白や合成オリゴペプチドから〜90kDXPD蛋白を識別する抗体を得た.この抗体を用いたウエスタンブロット分析は,XPD蛋白はUV-DNAの修復複合体やTATA配列をもつdhfr/exon-1との転写複合体の中に存在し,ATP,Mg^<2+>依存性の修復・転写ヘリカーゼであることを強く示唆した. mRNAノザンブロットとRNase protection法は,XPD患者日本人3名と欧米人3名はXPDmRNAのサイズ(〜2.6kb)と発現量に大きい差はないので微小変異もち,日本人2名の患者には大きい異常がみられるので欠失変異をもつことを示唆した。
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