研究課題/領域番号 |
06265230
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
鈴木 元 放射線医学総合研究所, 障害・臨床研究部, 室長 (00179201)
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研究分担者 |
蜂谷 みさを 放射線医学総合研究所, 技官 (00198756)
鵜澤 玲子 放射線医学総合研究所, 技官 (90250117)
明石 真言 放射線医学総合研究所, 室長 (10222514)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1994年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | アナジー / 末梢性寛容 / スーパー抗原 / CD28 / mRNA安定化 / 自己免疫 / IL-1 |
研究概要 |
末梢性寛容の一形態であるアナジーに陥ったヘルパーT細胞は、CD28副刺激伝達系の麻痺をきたす。 前年度は、トランスジェニック技術でマクロファージ特異的にI-EクラスIIMHC抗原を発現させると、I-E分子により抗原提示される内因性スーパー抗原反応ヘルパーT細胞のアナジーが誘導されることを報告した。本年度は、アナジーにより障害を受けるシグナル伝達系を明らかにする目的で、研究を進めた。 第一に、マクロファージ特異的にI-E分子を発現するトランスジェニックマウスME2と内因性スパー抗原反応性のTCRVβB11を発現するTCRトランスジェニックマウスF5のF1を作製した。平成7年度にF1マウスのアナジーの解析を進める。 第二に、B6マウスに外来性スーパー抗原SEBを投与してVβ8陽性CD4T細胞のアナジーを誘導し、アナジーによって障害を受けるシグナルを検討した。その結果、アナジーに陥ったヘルパーT細胞では、CD28副刺激を加えてもIL-2およびIL-4mRNAの安定化が誘導されないことが判明した。アナジーを誘導するとIL-2mRNAの発現レベルは低下するが、IL-4mRNAの発現レベルは逆に高くなる。発現レベルが高くなったIL-4mRNAでもCD28副刺激によるmRNA安定化が起こらないことにより、アナジーによりCD28副刺激伝達系の異常が起こることが判明した(Int.Immunol.7:37,1995)。従来より、アナジーによりTh1ヘルパーT細胞ではIL-2産生障害が、Th2ヘルパーT細胞ではIL-4反応性の低下(IL-4自体の産生は障害されない)が引き起こされることが報告されている。McAurtherにより、Th2クローンのIL-4反応性はCD28副刺激によるIL-1αmRNAの発現により制御されていることが明らかとなってきた。McAurtherの報告と私たちの実験結果を総合すると、CD28副刺激伝達系の障害により、Th2クローンのIL-4反応性低下が引き起こされると理解される。 第三に、上記の推論が正しいとするならば、外来性にIL-1を加えるとTh2クローンのアナジー誘導が阻害されることが予想される。そこで、SEBでアナジーを誘導する際にrhIL-1を同時にin vivo投与した。すると、IL-1投与によって確かにIL-4産生ヘルパーT細胞のアナジー誘導が阻害されることが証明された。この結果、炎症に伴って産生されるIL-1が、high zone toleranceを阻害することにより自己免疫病を引き起こす可能性を有することが示唆された(論文投稿中)。
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