研究課題/領域番号 |
06266207
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
垣塚 彰 京都大学, 医学部, 講師 (80204329)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1994年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 白血病 / 染色体転座 / PML / RAR / APL / 抗核抗体 / ドミナント・ネガティブ / トランスジェニック・マウス |
研究概要 |
1.PML遺伝子の機能解析 抗体染色法により,PML蛋白質が、APL細胞の核内でPML-RAR蛋白質と複合体を形成していること、さらに、すべての細胞の核において極めて特徴的な粟粒状の染色像を示すことを明らかにし、この核内の領域をPOD(PML oncogenic domain)と名付けた。PODは、非APL細胞では、直径約0.3μmで約20箇所存在するのに対し、APL細胞では、無数のさらに細かいPODが存在していた。しかもAPL細胞のPODは、RAに反応してその数と大きさが正常細胞型に近づいていくとこが判明した。さらにこの過程でPML-RAR蛋白質が、RA依存性に分解されて、核より消失していくことが明らかになった。我々の解析結果より、PML-RAR蛋白質が、PML蛋白質と複合体を形成し正常なPODを破壊する事によってPODの機能を阻害してること、PML-RAR蛋白質が、RA投与によって分解されて核より消失していくことがAPLの発症及び寛解の分子機構であることが明らかになった。 2.RAR遺伝子の機能解析 APL細胞のRAによる分化機構をさらに理解するためには、レチノイドの生体における生理作用を明らかにする必要がある。我々は、レチノイン酸受容体(RAR)が、細胞内受容体スーパーファミリーに属し甲状腺ホルモン受容体(TR)と最も近縁な関係にあることにヒントを得て、常染色体優性遺伝形式をとる甲状腺ホルモン不応症に同定さたドミナント・ネガティブな作用を示すアミノ酸変異を構造的に近縁なRARに導入することによりドミナント・ネガティブRARを作出することに成功した。つづいて、このドミナント・ネガティブRARを用い、皮膚を標的臓器としたトランスジェニック・マウスを作成したところ、得られたマウスの皮膚には皺および体毛がなく、微視的には角化細胞及び有棘細胞が激減しており、いずれも未成熟な皮膚の特徴を示していた。以上の結果は、正常な皮膚の発生にRAの作用が不可欠であることを初めて実験的にも示したものである。今後、本方法を他の組織に適応することにより、組織ごとにRAの生理活性を明らかにしていきたい。さらにドミナント・ネガティブRARとPML-RARの機能をトランスジェニック・マウスを用いて比較検討することにより、APL細胞の分化の停止がRARの機能異常により引き起こされている可能性をあわせて検証していく。
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