研究課題/領域番号 |
06267207
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
赤池 敏宏 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (30101207)
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研究分担者 |
渡辺 恵史 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (40231013)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1994年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 肝細胞 / アシアロ糖タンパク質 / DNA合成能 / PVLA / 胆汁酸形成分 / 表面解析法 |
研究概要 |
我々は、肝細胞の生育にとって必須の因子の1つである基質材料(細胞外マトリックス)サイドから、培養肝細胞の増殖と分化機能発現が制御されているのではないかと考え接着基質PVLA上での細胞応答に関する種々の検討を行ってきた。その結果、アシアロ糖タンパク質を単純モデル化した人工基質材料PVLAを開発した。興味深いことにはこのPVLA水溶液(高分子ミセル)のコーティング濃度を変化させることで、培養肝細胞の接着形態が変化し、それとともに増殖能と分化機能が相反的に変化することが明らかになった。PVLAのコーティング濃度を低くすると接着した肝細胞は伸展形態を示し、DNA合成能の指標である[^3H]-チミジンの取り込みが亢進し、逆にコーティング濃度を高めると接着形態は球状化し、その変化に伴い[^3H]-チミジンの取り込みが顕著に抑制された。 さらに、分化機能の指標である胆汁酸形成分泌能は、PVLAのコーティング濃度を高めて球状接着形態をとらせると[^3H]-チミジンの取り込みに相反して上昇する傾向を示した。 アシアロ糖タンパク質モデルとして設計されたPVLAが、コーティングする際の溶液濃度によって異なる細胞応答のメカニズムを解明するために濃度の違いによるPVLAの吸着状態の変化をいくつかの表面解析法により検討した。原子間力顕微鏡(AFM)によって濃度依存的なPVLAの吸着状態の変化が観察された。高分解能走査電顕像もあわせて解釈すると高濃度のPVLA水溶液からコートした場合に比べ、低濃度水溶液からのコートでは吸着状態がドメイン状(パッチ状)であり、ガラクトース密度の分布がxy平面内のみならず、垂直方向にも不均一になっているものと推定された。低濃度系ではPVLA培養シャーレ表面でミセル状態からunfoldした状態で吸着したものも相対的に多いと考えられる。すなわち、PVLAの培養シャーレ表面への吸着状態の変化、つまり界面近傍におけるβ-ガラストースのドメイン的な不均一分布を肝細胞が認識して応答性を変えたものと考えられた。
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