研究課題/領域番号 |
06267214
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
保田 立二 岡山大学, 医学部, 教授 (30092357)
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研究分担者 |
渡来 仁 岡山大学, 医学部, 講師 (50175139)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1994年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | モノクローナル抗体 / ガングリオシド / 抗体遺伝子 / リポソーム / 大腸癌 |
研究概要 |
糖鎖構造を認識する抗体として新たにHanganutziu-Deicher(HD)抗原として知られているN-glycoryl型シアル酸をふくむガングリオシドに対するモノクローナル抗体を作製した。HD抗原に対する抗体はシアル酸がN-glycoryl型であるガングリオシドGM3、シアリルパラグロボシド(SPG)、i-活性ガングリオシドのそれぞれとサルモネラ菌のリポ多糖体をリポソーム膜上に再構成して免疫したマウスの脾臓細胞から作製した。GM3およびSPGで免疫した個体からはシアル酸のN-acetyl型、N-glycoryl型の両方を認識する抗体がとれた。これに対してN-glycoryl型シアル酸をもつi-活性ガングリオシドを免疫した個体からはN-glycoryl型シアル酸をもつi-活性ガングリオシドのみを認識するモノクローナル抗体株(SHS-1)が確立できた。この抗体は通常の糖鎖抗原に対するモノクローナル抗体が新鮮な凍結切片でしか組織を染めることができないのに対し、ヒト大腸癌のパラフィン切片が高率に染まった。パラフィン切片でHD抗原を検出できることは、HD抗原の癌抗原としての役割の解明のみならず、病理学診断学的にも有用な抗体と考えられる。 抗体遺伝子の解析をアシアロGM1に対するモノクローナル抗体とSHS-1についておこなった。細胞から抗体の可変領域遺伝子をmouse SvFc moduleでクローニングし、塩基配列の決定とリコンビナント抗体として大腸菌に発現させることを試みている。アシアロGM1に対する抗体では、H鎖がマウスのgerm line遺伝子と、L鎖がデキストランに対する抗体の遺伝子と一致したものと、もう一組のかなり相同性の高い遺伝子配列が検出された。これらの遺伝子を大腸菌でファージ抗体として発現させる系の確立を検討中であるが、活性の強い抗体はまだ得られていない。SHS-1の遺伝子も可変領域をmouse SvFc moduleでクローニングし、分泌型の単鎖抗体として発現させるシステムの構築を模索しているが、こちらも現在のところ十分な活性をもつリコンビンナント抗体の作製に成功していない。
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