研究課題/領域番号 |
06270216
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
八杉 貞雄 東京都立大学, 理学部, 教授 (70011591)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1994年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | ニワトリ初期胚 / 消化管内胚葉 / 間充織 / 組織間相互作用 / ペプシノゲン遺伝子 / CdxA / モノクロン抗体 |
研究概要 |
本研究の課題は、ニワトリ初期胚において、胚葉が成立し、胚葉内に領域性が確立し、さらにそれぞれの領域が本来の発生運命にしたがって分化していく機構を明らかにすることである。平成6年度においては、消化管内胚葉に特異的に発現する遺伝子と抗原に着目して研究を進めた。まず6日胚消化器官と5日胚肺をとり、内胚葉性上皮と間充織を組み合わせて器官培養し、それぞれの培養片における上皮の分化を、ECPgやスクラーゼの発現を指標として調べた。結果は消化管の上皮には少なくとも孵卵6日にはECPgを発現しうる上皮としえない上皮という、部域差が生じていることを示唆した。ついで我々はニワトリ胚で消化管の後方領域で発現していることが報告されているCdxAに注目し、in situ hybridizationやNorthern blottingを行なったところ、この遺伝子は、3日胚からは胚後方の内胚葉のみに発現し、そのパターンは成体まで変化しないことを確認した。また本来CdxAを発現する上皮は異種間充織存在下でもCdxAを発現し続け、一方正常発生では発現しない前方上皮も、若い胚から得た場合には小腸間充織存在下でCdxAを発現することが示された。その他の結果などから、小腸上皮におけるCdxAの発現は、消化管上皮における部域性の確立と関わり、直接的にスクラーゼの発現を支配している可能性が示唆された。さらにわれわれは、消化管の前方の器官(食道、前胃、砂嚢)の上皮でのみ発現する抗原を認識する抗体(AGE抗体)を作成し、抗原の発現パターンと間充織による制御を解析した。その結果これまで異種間充織の誘導的作用を決して受けず、その発生運命が初期に決定されていると考えられてきた小腸の上皮が、前胃、砂嚢などの間充織の存在下にAGE抗原を僅かではあるが産生するので、この上皮も孵卵6日で異種上皮へと分化する能力を保持していることが分かった。この抗原の分布は上述のCdxAの発現領域とは決して重ならず、発生の初期から産生されているので、やはり領域の決定の早い段階で出現する領域特異的抗原と考えられ、その発現制御の解明は、胚葉の成立と分化の問題の解析にとって有用なシステムを提供するものと思われる。
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