研究概要 |
中枢神経経路形成過程で機能が予想されているチロシンリン酸化酵素のFynを欠損したマウスの解析において、ミエリン形成過程での異常を新たに発見するとともに(Nature367,572-576)、情動行動の異常(Mol.Brain Res.,27,179-182)、聴覚性痙攣発作の異常(Mol.Brain Res.,28,349-352)を明らかにした。脳神経形成過程でのFyn発現様式について解析した(Oncogene,9,2433-2440)。これらの結果はSrcファミリー遺伝子の神経発生・機能発現での役割として総説としてまとめた(Develop.Growth & Differ.,36,543-550)。これらの成果はFynが哺乳動物の脳神経系形成及び機能発現で機能していることを示すとともに、遺伝子ターゲティング法が哺乳動物の行動制御機構を解析して行く上で大きな意義を持つことをあらわす結果として、世界的に評価された。また、Fynと中枢神経系で結合する分子についての解析でも、酵母系を用いた2ハイブリッドシステム、GSTとFynの融合蛋白質カラムを用いた解析で多くの今まで報告のない分子を同定しており現在、その成果をまとめるとともに、解析を続けている。
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