研究課題/領域番号 |
06271103
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
鈴木 和夫 千葉大学, 薬学部, 教授 (90109918)
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研究分担者 |
平野 靖史郎 国立環境研, 地域環境, 主任研究員 (20150162)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1994年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 希土類元素 / ネオジム / ガドリニウム / イットリウム / ランタン / 気管内投与 / 好中球 / 走化性因子 |
研究概要 |
新規に利用されるようになってきた金属類の人間の健康への影響を評価し、使用から廃棄にいたる全過程における適切な方策を講ずるための科学的なデータを用意することを目的とした研究を意図した。希土類元素類について、経気道的な暴露経路による毒性評価を行い、同時に体内における動態を明らかにすることによって金属類の健康影響を総合的に評価することを目的とした。この目的のため、本申請者らがこれまでに開発し実施してきた実験動物に対する気管内投与法等を用い、影響評価法として臨床生化学および細胞学的なデータを利用した。今回、健康影響評価の対象とした金属は希土類磁石の素材などとして利用が増えているネオジムとガドリニウムである。 両金属について投与2日後における生体影響指標によって用量一応答関係を明かにし、50μg/ratの用量を投与することによって、経時的な生体影響指標の変化を明かにした。生体影響指標としては気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid,BALF)中の lactate dehydrogenase(LDH)や蛋白量などの生化学的指標とマクロファージや好中球数などの細胞学的指標を用いた。金属間で生体影響を比較する指標としてLDHがもっとも適していることをこれまでに示してきたが、この指標でネオジムとガドリニウムの生体影響を比較すると、ほぼイットリウムやランタンと同じ程度の急性の生体影響を示した。したがって、今回の2種類の金属も含めた希土類元素類の経気道暴露による急性毒性は亜鉛と銅の中間であった。 投与した金属の代謝的運命をICP-MS法で明かにしたところ、ネオジムとガドリニウムの生物学的半減期は197日と136日と算定され、イットリウムやランタンと同程度であるが他の金属と比べると異常に長いことがわかり、希土類元素類に共通した特徴と認めた。また、カルシウムに特に注目した生体内の必須元素濃度も同時に測定することによって相互作用も明かにした。BALF中のカルシウム濃度が特異的に投与直後に上昇すること、そしてこのカルシウムが血流中のカルシウムに由来することがわかった。 ネオジムまたはガドリニウムを気管内投与法によって投与すると、肺胞腔に好中球が短時間の内に集積してきた。また、マクロファージも少し遅れて集積してきたが、マクロファージ数は金属の半減期を反映したような長時間にわたって高い数値を示した。
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