研究概要 |
日本列島における各種の人間活動がどれだけの物質的インパクトを周辺の海域の大気や水に与えているかを評価するために、列島から排出させる物質量を元素量,化合物量として推定する手法を確立することを目的とした。方法としては日本列島内における物質循環の流れ図を作成し、それぞれのコンパートメント間の物質の動きの要因である。貿易,鉱業,農林業,水産業,工業等々の人間活動を抽出し関連する物質量を社会地球化学的に重要な社会経済統計から求めた。今年度は栄養塩であるリンを対象とした。列島内へのリンの流入径路にはリン鉱石をはじめとする輸入品,水産物,大気降下物がありそれぞれの量を推定した。列島内では肥料,農産物,飼糧,食糧その他工業製品として循環し,一部は系内に蓄積するが,その他は列島外に排出される。こうしたものとして,廃棄物量,下水処理量,し尿海洋投棄,河川流出によるものを積算した。それぞれの数値の精度については精粗はあるが全体的にはこの方法の有効性が示された。
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