研究課題/領域番号 |
06271246
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
辻村 亨 大阪大学, 医学部, 助手 (20227408)
|
研究分担者 |
野村 慎太郎 大阪大学, 医学部, 助教授 (80159087)
春日井 務 大阪大学, 医学部, 助手 (80214310)
北村 幸彦 大阪大学, 医学部, 教授 (70028520)
|
研究期間 (年度) |
1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1994年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
|
キーワード | 居住環境 / アレルギー病 / マスト細胞 / c-kit遺伝子 / 突然変異 / マスト細胞欠損動物 / ダニ / 寄生虫 |
研究概要 |
日本ではアレルギー性疾患が増加しておりこの原因は漠然と居住環境の変化のためと考えられている。アレルギー性疾患はマスト細胞がエフェクター細胞として機能する即時型アレルギー反応を基礎として起こる。KITレセプター・チロシンキナーゼのリガンドであるstem cell factor(SCF)はマスト細胞の最も重要な増殖因子である。マスト細胞欠損マウスはマダニのHaemaphysalis longicornis(H.L)を排除できないが正常培養マスト細胞を移植すると排除できるようになるのでマスト細胞を介した即時型アレルギー反応はダニの排除に役立つと考えられる。しかし移植したマスト細胞は増殖するのでどの程度のマスト細胞があればH.Lを排除できるのか決定できない。そこでマウスのKIT遺伝子の分子レベルの異常とマスト細胞数を対比することでどの突然変異の組み合わせによりどの程度のマスト細胞数をもつマウスを生産できるか検討し任意のマスト細胞数をもつマウスにおけるH.Lの排除能を調べる必要がある。キナーゼ領域に点突然変異をホモにもつ多くのマウスではそのマスト細胞数はKITのキナーゼ活性の程度に比例していた。W^n突然変異はキナーゼ領域の点突然変異であるにも拘わらずKITを細胞表面に発現しない。W^<sh>突然変異は発現を調節している制御領域の異常であることも明らかとなった。次にマスト細胞の腫瘍化にSCF/KIT系が参画しているか検討した。マウスのマスト細胞腫細胞株(P-815)、ラットのマスト細胞性白血病細胞株(RBL-2H3)、ヒトのマスト細胞性白血病細胞株(HMC-1)ではKITのキナーゼ領域の特定のアスパラギン酸がチロシンあるいはバリンに置換した結果、構成的にKITが活性化していた。KIT遺伝子には“gain-of-function"突然変異が存在しマスト細胞の腫瘍化に突然変異によるKITの構成的な活性化が関与していることが示唆された。増加しているアレルギー性疾患の中には環境変異原が誘発したKIT遺伝子の“gain-of-function"突然変異により増殖したマスト細胞が関与する病態も存在するものと思われる。
|