研究概要 |
亜鉛鉱山や富山(イタイイタイ病)などの亜鉛精錬工場周辺から高濃度のカドミウム汚染土壌とそれによる汚染米が見いだされ、大きな社会問題となった。現在、客土などにより保全されたとはいえ完全ではない。何故なら、土壌が一端重金属に汚染されると、浄化は不可能に近いからである。そのため、依然としてカドミウム汚染米が食卓に登る可能性がある。日本人の主食の米のカドミウム汚染を防除するためには、カドミウムを吸収しない水稲を作出する必要がある。 本研究ではカドミウム排出型水稲を作出する第一歩として、新しく見いだしたカドミウム耐性細菌の中から排出型細菌を検出し、その遺伝子を解析した。得られた結果を要約すると次のようになる。 1)カドミウム高濃度汚染地の長崎県対馬から8株、非汚染地の東大農学部付属田無農場から6株のカドミウム耐性細菌を単離し、同定した。同定されたのは、Comamonas testosteronii,Furavobacterium,sp.,Methylobacterium fujisawaense,Alcaligenes piechaudii,及びAlcaligenes xylosoxidansの7種で、全て新種であった。 2)強耐性で排出型を示した細菌のAlcaligenes pichaudi及びAlcaligenese xylosoxidansは、Mgを体内に取り込む際に同時に入ってくるCo^<2+>,Zn^<2+>,Cd^<2+>を膜タンパクによって排出するCZCシステム遺伝子が見出された。 以上の結果から,本年度の目標であるカドミウム排出型遺伝子が獲得できた。次年度に、本研究の目的とするカドミウム排出型水稲の育成を実施する予定である。
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